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小説の世界で公開停止中の作品 フルメタル・パニック



ウィスパード 可憐なる少女達




ナレーション(以下N)「我々人類は、様々な歴史を積み重ねてきました。

 しかし我々の知らない裏の歴史も存在します。

 また我々が知っている歴史の中に隠された真実もあります。

 [プロジェクトXYZ 知られざる歴史の世界]では、過去や未来・様々な地域・平行世界における重要な出来事を作ってきた人々の物語を紹介します。」




N「統一された地球連合統合軍。

 その前身は、国連軍でした。

 が、その国連軍の前身となる軍があったことは、あまり知られていません。

 ミスリル<br> <br>  神秘の魔法銀の名で呼ばれるこの軍隊は、世界の調停役としての役割を担うために作られたどこの国にも組織にも所属しない傭兵部隊でした。

 ウィスパード

 さされやかれしものたち

 この世に存在しない知識を何故にか記憶するものたち

 その存在を確保したが上に、10年先を行く知識があるミスリルは 国際情勢に確固たる地位を築き上げました。

 今回は、ミスリルに関係した3人のウィスパードの物語を語ります。」




『プロジェクトXYZ』

ちゃ〜〜ん↑ちゃ〜〜ん↑ちゃ〜〜ん↓ちゃ〜〜〜ん↓

ちゃ〜〜ん↑ちゃ〜〜ん↑ちゃ〜〜ん↓ちゃ〜〜〜ん↓

ちゃらちゃらちゃらちゃらら〜〜ぁ↑

ちゃらちゃらちゃらちゃらら〜〜ぁ↓

(中○み○きの地○の○を聞きながらお読みいただくといいかも・笑)



[その軍は超エリートの集まりだった]

[猛者たちを指揮する戦乙女の存在があった]

[突然内より意識を乗っ取ろうとする声との壮絶な戦い]

[ウィスパードを狙う謎の組織]

[ただ普通の少女達が受ける様々な試練]

[恋、そして失恋]

[ウィスパード 可憐なる少女達 1](フルメタル・パニック)




ウィーズ(以下ウ)「こんばんは。司会のウィーズダム・ウィル・フィールです。」

テレサ(以下テ)「こんばんは。同じく司会のテレサ・ウィル・フィールです。今回はウィスパードを取り上げたいと思います。」

ウ「ミスリルという傭兵組織に関係した3人のウィスパード。テレサ・テスタロッサ、千鳥かなめ、如月未来(みら)。いずれもおとらぬ美少女達ですねえ。」

テ「結構軽るかったんですねえ。ウィーズさん(怒)」

ウ「まあ、一般論ということで(汗)で、この3人の接点は一人の男性なんですね。」

テ「相良宗介。すっごく生真面目というか、生真面目すぎてどうにもならない人物なんですが、何故か3人のウィスパードに好意をもたれるんですね。」

ウ「では、物語を語って行きたいと思います。」




N「199X年4月15日ソビエト連邦東部時間夜。一台のジープが爆走していた。ハンドルを握るのは、ミスリル情報部員。隣には、やすれきった少女が乗っていた。

 少女の名は、如月未来。弱冠18歳。彼女は、ソ連のとある研究施設に囚われていたがミスリルの情報員に助け出されたのだ。

 ウィスパードの能力を持ってるが故に囚われ様々な非人道的な実験を繰り返された。

 情報員の任務は、ウィスパード研究施設を調べることであった。本来ならば情報収集だけですむ任務。

 だが、おそらく情報員は、あまりに非道な扱いをうける少女を助けたかったのであろう。それが彼の命取りになった。

 追手の攻撃ヘリからミサイルが発射されジープを横転させたのだ。投げ出されるふたり。情報員は未来に1枚のCDを渡し逃げるように言うと息絶えた。未来は逃げようと思った。ただ思った。

 が、非情にもヘリから機関砲が吼える。

 その時、突然ヘリに巨大なナイフが突き刺さっているのを未来は見た。

 爆発しながら墜落していくヘリ。

 それは、未来に向かって落ちてきた。

 わずかに残る意識の中でもう駄目だと未来は思った。が、信じられない光景を見ることになる。

 ヘリを両手で受け止める一体の人型兵器。彼は未来を守るように立ちふさがった。

 次々にふりそそぐ破片をから未来を守るように。

 恐ろしきヘリの残骸は未来に降り注ぐことはなかった。

 未来には、それは頼もしき勇者に見えた。

 その勇者から一人の少年がコックピットから姿を現した。

 少年いった。

 未来を助けに来た事を。

 薬で錯乱状態であった未来は、そこで意識が途切れる。

 燃え盛るヘリの残骸に照らされた巨大な人型兵器をバックにした少年の姿を目に焼け付けながら。

 少年の名を相良宗介という事を心に残しながら・・・・・・」




N「如月未来は、元々とある事件に巻き込まれ死亡した。彼女が中学校3年の時だった。

 が、死亡宣告がなされた12時間後、息を吹き返した。

 それは、関係者を驚かせた。

 当時、たまたま事件に関わっていたミスリルは、彼女の安全を考え生き返った事を公表せず彼女を死者のままにしたのだ。

 何故なら彼女はウィスパードとして事件に巻きこまれたからだ。

 彼女は長い間仮死状態に陥っていたせいで自分の記憶を無くしていた。

 ミスリルは、催眠術をほどこし未来に別の記憶を埋め込み2歳若い13歳の少女として世間に復帰させたのだ。

 が、魔の手はまたもや未来を襲うことになった。

 未来を守りきれなかったミスリル上層部は、直ちに情報収集にかかり、そしてソ連にて発見。そして冒頭の救出劇となったのである。

 救出の指揮をとったのは、テレサ・テスタロッサ大佐。

 弱冠16歳。

 彼女もまたウィスパードであり彼女がささやかれた知識を利用して建造したトゥアハー・デ・ダナンという強襲揚陸潜水艦を駆使した救出作戦であった。」



『プロジェクトXYZ』




ウ「模型ではありますがこれが強襲揚陸潜水艦トゥアハー・デ・ダナンと人型兵器アーム・スレイブM9ガーンズ・パックです。」

テ「当時、M9は列強各国が正式配備していたM6ブッシュベルの1世代先を行く技術があり、トゥアハー・デ・ダナンは、2世代、3世代先をいく最強の潜水艦でした。」

ウ「実は、M9と、のちに開発されるARX−7・アーバレストの製作者もウィスパードでしたが、発狂し死亡しています。ささやかれし者に精神を破壊されるか、悪の組織にさらわれドラックを打たれ強制的にささやきの知識を収集し廃人にさせられる。人間が本来持つべきではない知識を持つとかくも悲惨な運命をたどるという理不尽さがありますね。」

テ「アーバレストと潜水艦の製作者は互いにちがいますが、その基本スペックの理論を出したのが実はリハリビ中だった如月未来その人だったんです。つまり彼女は自分が提案した兵器で救われたことになるんですね。幸か不幸かはわかりませんが。」

ウ「さて、無事帰還した相良宗介に新たな任務が言い渡されます。それは高校生としてウィスパードであると思われる少女の護衛でした。」

テ「場所は東京。なんの変哲もない公立高校です。」




N「都立陣代高校。なんの変哲もない高校の生徒会副会長を務める千鳥かなめ、高校2年生。長く美しい黒髪をたびかせた彼女はおしとやかというのではなく、活発的な印象を与える美少女だった。

 姉御肌で人望も厚い彼女に運命の出会いが待っていました。

 相良宗介との出会い。

 だが、出会いは最悪の形だった。

 宗介は、一般常識がまったくなかったのからだ。

 相良宗介は、元々アラブ諸国でゲリラとして子供のころから活動してきた。

 それゆえに、戦場での常識、常に安全を考える危機管理能力に長けていたがその行動をそのまま日本で実践したため浮いた存在になった。

 例えば、女子更衣室の中でソフトボール部に助っ人にでるかなめを守るために女子ソフト部へ入部する書類を持参し、着替えをしているかなめと鉢合わせし、女子生徒が悲鳴をあげるがそれをテロリストの襲撃と勘違いし下着姿の女子生徒を無視して「ふせろ!!」などといったりした。

 2、3日も前のスポーツ新聞を手に持ちながらずっとかなめをストーカーのような状態で護衛した。

 そんな宗介だから、かなめの第1印象は、最悪なものとなった。

 過去に父の仕事の関係でアメリカにいたかなめは、中学時代帰国子女というだけでいじめにあっていた。

 そんな経験を持つかなめが学級委員の強行発動して、ある種のいじめや悪意を持った仕打ちとして、修学旅行での当番に無理やり宗介を指名したことから、いかにかなめが宗介を毛嫌いしていたかがわかる。

 が、この修学旅行こそ、かなめと宗介の確固たる信頼関係を築くイベントだったのである。




 南国の沖縄。そこが目的地のはずだった。

 が、かなめ達の乗った飛行機は、南国の青々しい海の上ではなく灰色の海の上を飛んでいた。

 相良宗介は、窓から見えた韓国軍F16戦闘機を見て事態の深刻さを悟った。

 ハイジャックの可能性。

 最悪のシナリオ。

 降り立った空港には、MIG21戦闘機に似た機体が並んでいた。

 北朝鮮。

 テロリストと言えば出てくる国の名前。

 機内アナウンスでハイジャック犯が声明を発していた。

 その後しばらくして、一人の男が機内に姿を現した。その姿を見て宗介は内心で驚きとあせりを感じた。

 ガウルン。

 かつて宗介がゲリラ時代に世話になっていた村人を虐殺し、その仇を打つため狙撃して殺した男。

 そいつが事もあろうことか、かなめを日本政府やマスコミに送る映像のモデルとして選んだのだ。

 これは、ただのハイジャックではなく、かなめ一人を狙った誘拐。

 ガウルンが関わるということは、乗客すべての命が散る運命であると宗介は悟った。

 担任の神楽坂がそれを見て「私を連れていきなさい」と大声を張り上げていた。

 まずいと宗介は思った。

 ガウルンの銃が神楽坂教諭に向けられる。

 宗介はとっさに食器を床に落とした。

 静まりかえった機内に響くかん高い音。

 失礼といい、食器を拾い上げ平然とする宗介を見るガウルン。

 やがて気をそがれた様子でかなめをつれて去っていくガウルン。

 何故、神楽坂教諭を助けたのか自分でもわからなかった。

 護衛対象でない、彼女を助けるために犯した危険。

 一歩間違えれば自分にも危険を生じさせ、それは乗客すべてを死に至らしめる結果にもなりかねなかった。

 自分だけが乗客を助けることができる唯一の人間なのだから。

 これこそ、戦場で生きるか死ぬかの修羅場をくくりぬけてきた歴戦の勇者、相良宗介が始めて見せる、人間としての素朴な、打算や計算のない、人を助けたいと思う瞬間であった。

『プロジェクトXYZ』




テ「ここでお客様を紹介します。当時の階級はミスリル軍、軍曹。3人のウィスパードに深い関わりを持った相良宗介国連軍退役准将と、ウィスパードの能力を持った、旧姓千鳥、現在は相良かなめ退役国連軍中将におこしいただきました。」

宗介「始めまして。相良宗介です。」

かなめ「お招きいただきありがとうございます。」

ウ「ここでは、かなめさんを旧姓の千鳥さんで呼ばせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。」

テ「軍機にあたるこの出来事をこれから語ってもらうんですが、たとえ軍機が解かれたとしても話たくない部分はあると思うのですが?」

宗介「うむ。確かにそうです。が、この出来事を通じていかに人類が様々な危機的状況を抱えているか、それを少しでも理解していただくことこそ、地球連合統合軍の本質を見てもらえると思います。」

かなめ「昔の宗介ならそんなこと絶対に言わないですけどね。」

テ「例えばどんな感じだったんですか?」

かなめ「例えば言葉使いですね。今の事をこう言っていました。

『うむ、肯定だ。が危機管理のなんたるか知らない民間人が今から語る戦場での出来事を知ることこそ、地球統合軍の必要性を感じるであろう。』  てな、感じですかねえ。」

ウ「相当に世間はずれな行動を取っていたんですか?」

宗介「ええ。今思えば、相当に的外れ的なことばかりやってましたね。ですが、かなめのおかげでまあ、堅苦しいですが、普通なしゃべり方や常識を学ぶことができました。私にとってかなめはなくてはならない最愛の人ですよ。」

テ「うらやましいですね。かなめさん。」

かなめ(真っ赤)

ウ「ところで、ガウルンですが、彼はそんなに恐ろしい男だったんですか?」

宗介「恐ろしいという言葉でなく、外道と言った方がいいかも知れません。後の事件でわかった事ですが、ガウルンは不知の病に犯されていました。それゆえでしょう。他人の命どころか、自分の命さえもチップとして賭けを楽しんでいる。そんな奴でした。」

テ「そんなガウルンに呼びかけられたとき、千鳥さんはどんな心境でしたか?」

かなめ「もちろん恐怖を感じました。それだけでしたね。」

ウ「さて。そんな中で相良宗介は、ハイジャック犯から乗客を救う為に行動をします。」




N「テロリストの人数が少ない為か?飛行機内には、監視の兵がおらず自由に行動することが許されていた。

 宗介は、人気の無い調理室まで来て手をつき冷や汗を流していた。

 わざわざ自分から敵に注意を向かせるというおろかな行為をした自分に戸惑っていた。

 宗介とガウルンには深い因縁があった。

 ガウルンとは、中国語で『9つの竜』との意味を持ち9つの国籍を持つと言う意味が由来とされている。

 主に東側諸国で知れ渡っている凄腕で非情なテロリストであった。

 宗介とミスリル最強の潜水艦、トゥアハー・デ・ダナンの戦闘指揮官で少佐でもあるアンデレア・カリーニンは、ミスリル入隊前にアフガンニスタンで戦っていた。

 カリーニンはソ連KGBに所属していたが陰謀で追われる身となりイスラムゲリラであった宗介と合流し逃走していた。

 そんなふたりが匿われていたゲリラ組織の村が宗介たちが不在の間にアームスレイブ2機による強襲によって壊滅状態にさせられた。

 アームスレーブを所持していなかったゲリラを始め無関係な女子供まで容赦なく殺された。

 それを指揮していたのがKGBに雇われたガウルンであった。

 ふたりは復讐を誓いそしてその機会が訪れた。

 逃走中に山中にてカリーニンが囮になり宗介が狙撃でガウルンの額を打ち抜き復讐は終わった。

 その後、ふたりは別行動をとりそして再びミスリルで共に戦うこととなる。

 死んだはずのガウルンが宗介のことに気がつかなかったのは、宗介自身が成長し、また容貌も変わっていたためであったが、まさにそれは幸運としかいいようがなかった。

 宗介は、調理室のエレベーターを使い貨物室に忍び込みコンテナを開けて自分の荷物を探し出した。

 その中に入れておいた、サバイバルキットやスタンドガンをポケットにねじ込んだ。

 そして、ミスリルとの交信に使う強力暗号化機能付衛星通信機を取り出し交信しようとした。

 その時、突然テロリスト達が貨物室に入ってきたのだ。

 とっさにコンテナに隠れる宗介。

 それに気が付かず、テロリスト達は軽口をたたきながらひとつのコンテナになにか細工をして去っていった。

 気が付かれなかったことにほっとしながら宗介がそのコンテナを見て顔がひきつった。

 そこには巨大な爆弾が仕込まれていたのだ。

 爆発物の扱いの知識が多少ある宗介にも解体不可能な爆薬。

 テロリスト達は「どうせ死体の勘定なんかできないのだから一人くらい女子高生をもらっていきたい。」などといっていたことを思い出し宗介は改めて思った。

 かなめひとりを誘拐し、飛行機を爆破しかなめも死んだものとして永久に闇の世界に葬られる。

 それほどに何故かなめが必要なのか宗介は、疑問に思わずにいられなかった。

 宗介は、飛行機から抜け出し偵察活動を開始したのであった。」




N「一方そのころ、かなめは棺おけのような機械の中に横たわっていた。

 ゴーグル式のヘッドデスプレイをつけられ奇妙な図形や数式を見せられていた。

 気絶している間に服を脱がされガウンを羽織らされていた。

 自分の貞操が奪われたのではないかと思ったりもしたがその心配はないようでありほっとしていた。

 かなめは、自分でもこの状況下で冷静にいられる自分に驚いていた。

 しばらくこの状況が続いた。

 突然、低いサウンドが聞こえてきたかと思うと、意味不明な羅列のアルファベットや日常に使われるたわいのない単語が交互に写されていた。

 その間隔は、徐々に短くなっていった。

 それは、映画やテレビで昔行われたサブミッショナル効果のような感覚の映像であった。

 そして、その中には、高度な数式や化学式意味不明な専門用語が羅列されていた。

 かなめは、自分が理数系が苦手であるはずなのに何故かこの数式などの意味を理解していた。

 頭の奥から誰かがささやくような、そう、別の意識が自分の頭に宿っているような感覚があり、かなめは、悪寒を感じられずにはいられなかった。

『ねえ、帰らせて。こんな変な睡眠学習なんか』

 かなめは、この装置をいじっていた女医に懇願した。

 女医は、ふっと笑った。

『学習?とんでもない。これは貴女が生まれる前から知っていたことよ。』

 かなめは、その言葉を聞いて漠然とではあるが自分が何故このようなことになったのかを知った。

 死へ手触りというものを感じ。

 自分の母が死んだときのあの感覚。

 もう日常の世界には、帰れないかもしれないとかなめは思った。




N「宗介がトゥアハー・デ・ダナンに通信衛星を使って連絡を入れたのは、偵察を開始して数時間のことだった。

 ミスリル西太平洋基地からどこかの海域に潜んでいる潜水艦に通信につながった時、真っ先に通信に出たのは、艦長のテレサ・テスタロッサ大佐であった。

 テレサは、弱冠16歳でトゥアハー・デ・ダナンという世界最高峰の潜水艦を作り上げた天才でもありウィスパードでもあった。

 そんな状況であったので、同世代の友人が少なかった。

 それゆえであろうか?

 自分と同い年である宗介に興味を抱いていた。

『サガラさん。無事ですか?』

 指揮官とは別の感情でたずねる自分心の中で苦笑いしながらテレサは尋ねる。

『大佐殿。肯定であります。』

 ほっと安心するテレサ。

 横にいたカリーニン少佐に通信を変わり報告を聞くことにした。

 様々な情報がもたらされていくなか、テレサは、爆弾を仕掛けられたこと、そしてガウルンのことを知った。

 テレサは冷徹な顔をして冷たく言い放った。

『上等よ。そのガウルンという人には、高いツケを払わせる必要がありますね。』

 日ごろは、温厚でマイペースなテレサが本気になった瞬間であった。」

『プロジェクトXYZ』




テ「さて、すでにウィスパードという言葉とその意味について簡単なことは、一般的に知られていますがその実態というものはあまり知られていませんが、その点を説明してもらえないでしょうか?」

かなめ「はい。そもそもウィスパードとはささやかれしものと言う意味があって、自分が知らない知識が何故か自分の頭の中にありそれを何故か理解しているんです。ここまでは一般的に知られていることなんですが、実はその知識を持つものにとっては、爆弾を抱え込んでいるようなものなんですよ。」

宗介「まず、当時は、ウィスパードの存在は国家レベルで最重要機密でした。なぜかというと、その当時に知られていない様々な知識や技術を知っているわけですからね。そんなものが簡単に世間に流れた場合、軍事バランスが大きく崩れることとなります。ウィスパード争奪戦という闇の世界での紛争、そしてひとたびその力を得た国や組織によって大きく軍事バランスが崩れることによって大規模な紛争が起こる可能性がありましたね。」

テ「一歩間違えれば戦争の危機もあったということですか?」

そ「そうですね。それどころか人類滅亡の危機といってもいいかもしれません。何故ならば、どんな優秀な兵器であっても唯一かなわないものがあるんですよ。それは核兵器です。理由は簡単。それを扱う人が滅亡するからです。たとえその兵器が核爆発に耐えうるとしても、兵器をメンテナンスする人材がいなければ、そして補給物質を確保できなければどうにもならない。ウィスパードによってもたらされた兵器により窮地にたたされた場合、軍事組織というものは、ほぼ間違いなくそうすることになりますね。それが人類にとってどうなるかわかっているにもかかわらずです。」

か「それが軍事的なものでなくても十分脅威になりますね。例えば現在開発が進められている相転移機関や水素発電などの新エネルギーを手中に収めることにより石油や原子力の価値を少なくし膨大な利益を生むことができ、経済や政治的バランスを崩すことが可能ですよね。それゆえにウィスパードは、全世界のあらゆる組織から狙われることになりました。ミスリルのようにその趣旨を説明し友好的にウィスパードが協力するという例はほとんどなく、たいていは国家による強制的な協力要請、最悪な場合は誘拐をされて廃人になるまで知識を搾り取るという寒気がする状況があったわけです。」

ウ「そんな知識が何故かなめさんやテレサさん、未来(みく)さんに備わっていたんでしょうか?」

か「正直、いまだに解明されていないというのが実情ですね。ただいくつかの仮説はあるんですよ。未来や平行世界、未知の知的生命体からのメッセージというものですね。現にこの番組自体平行世界の話もあるんですからあながち的外れじゃないかもしれませんね。」

そ「政治的、軍事的に知られていない点はまだいいんですが、私にとっては、妻の体が一番心配なことですね。現に今もその危機に接しているんですから。」

テ「わあ。すっごく心配そうな顔をなさっていますねえ。うらやましいですう。」

そ「あたりまえだ。もしかなめがそんなことになったら俺は生きていけない。」

か「なななな。そ、そ、宗介。なにいってんんの!!(真っ赤)」

ウ「いやあ。本当にうらやましい。で、どんな危険があるんでしょうか?」

か「う、あ、はい、はい。えっとですね。頭の中でそのささやきに乗っ取られる可能性があるんです。そして最終的に発狂して死亡するケースがあります。それから、ウィスパード同士が共鳴し記憶を共有することができるんですが、あまりにそれをやりすぎると意識が混合して元に戻れなくなるという現象もあるんです。」

そ「だから、そのウィスパードの能力を持つものの身を安全にするため、そして、その知識を全人類で共有しいらぬ争いが起きないようにするために国連軍が誕生したわけです。そして、人類共通の軍隊をもつにいたり国家という枠組みが徐々に希薄なものとなりヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、中東、オセアニア、アジアという歴史的、宗教的、精神的な区分による7つの大きな連合体による統治によってのちに統一国家としての枠組みが出来上がるきっかけになったわけです。」

テ「さて、この後、相良宗介さんと千鳥かなめさんは、様々な危機に直面します。」



ウィスパード 可憐なる少女達



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