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小説の世界で公開停止中の作品 フルメタル・パニック



憧れから失恋へ 憂鬱から恋する乙女へ




「誰か、この紙を生徒会室に持っていってくれんかね?」

「私が持っていってもいいですよ。先生。」

「そうか、じゃあ、頼むよ。佐伯君。」

 て、なんでいっちゃったんだろうな〜〜〜。

「はう〜〜〜〜。」

 深いため息。

 私、佐伯恵那は、憂鬱に廊下を歩いていた。

 手にはアンケート用紙の束を持っている。

 行き先は生徒会室。

 クラスの学級委員が休みの為、生徒会で実施したアンケート用紙を届けに行くところである。

 で、なんでため息をつくかというと、生徒会室には、彼がいるからである。

 そう、彼が・・・・・。

 相良宗介さん。

 りりしくてとっても男らしい人。

 彼にラブレターを送ったが、待ち合わせ場所に現れず、何時間も待たされ、不良に絡まれて、それでも現れなくて、生徒会副会長の千鳥かなめさんが助けてくれて、千鳥さんが危ない目にあった時に初めて助けに現れた。

 そう、千鳥さんが危ない時に・・・・。

 しかも、すぐ前の茂みに数時間も気配を消してモデルガンの銃口を私に向けていたのである。

 しかもラブレターを脅迫状と勘違いし、私を尋問しようとしたのだ。

 あの時、私は泣きながらその場を走り去った。

 あの後、しばらく立ち直れなかった。

 彼のその態度もさることながら、私が危ない目にあっても助けてくれず、千鳥さんが危険な目にあった時に助けに現れたのだ。

 相良さんは千鳥さんの事が好きなんだと、二重の意味でショックを受てしまったのだ。

 その後、相良さんは、いつもあんな態度であることがわかり、少しだけ立ち直った訳である。

 その相良さんと千鳥さんのいる生徒会室へ行くのである。

 気が進まないのも当然であろう。

 生徒会室の前に来た。

 ドアは開いていた。

 中に入ろうとすると、生徒会室の中から異様な雰囲気が伝わってきた。

 素人でもわかるような異様な雰囲気が。

 何事かと私は中を覗いて見た。

 そこには、楽しそうに腕を組んで相良さんに話しかけるアッシュブロンドの髪の毛の少女と、それを見て目をメラメラさせている千鳥さん。

 そして脂汗を流し、硬直している相良さんがいた。

「ちょっとテッサ。何、腕くんでるのよ!!」

「いいじゃないですか。千鳥さん。」

 それを見て私は何故か心がズキンとした。

 なんであろううか?

 そう、これは嫉妬?

 そんな?

 私は相良さんの事をもう好きじゃないはずなのに。

 だって散々、私の心をズタズタにしたのよ。

 相良さんは。

 脂汗を流す相良さんを見てあざ笑ってもいいはずなのに。

 どうしてなの?

 しかし、そこで私は気が付いた。

 私は相良さんのことを、さん付けで心の中でいっていた。

 普通、ひどい目にあわされたら、その人の事を、さん付けでは呼ばない。

 それに生徒会室に行きたくなかった理由は、相良さんと千鳥さんの二人でいる姿を見たくなかったからなのだ。

 でも、どこか心の中に相良さんを見ていたいという願いがあったのかもしれない。

 じゃなかったら、アンケート用紙を生徒会室に届ける役を自分で引き受けたのだから。

 そして、やはり私は相良さんの事が好きだということがわかったのだ。

 彼女達の姿を見て。

 私に勇気を下さい・・・・・・・。

 例え嫌われても、なにもしないで後悔はしたくない。

 私は決心した。

 もう一度、相良さんと話をしてみよう。

 恋人になれなくてもいいの。

 友達でも。

 あのままで終わるのは嫌だもの。

「失礼します。あ、相良さん。千鳥さん。こんにちは。」

 にっこりと微笑んで・・・・・・・・。

 彼女の今の顔は、まさに生々としていた。

 まわりを明るくするような素敵な笑顔。

 そう、彼女の恋はここから始まるのだから・・・・・。

 逆をいえば相良宗介君の苦難が増えるという事なんですけどね。



あとがき


 このお話は、当HPのフルメタル・パニックのSS小説の第5部〜7部の間のサイドストーリーです。

 先行して、サイドストーリーをお送りしました。

 恵那ちゃんの目から見た、テッサとかなちゃんの姿を書いてみました。

 異様な雰囲気であるが、どこか必死で一途なテッサとかなちゃん。

 それを見て、嫉妬する恵那ちゃん。

 恵那ちゃんなら、きっとこうするだろうなと想像しながら、書いて見ました。

 いかがなものでしょうか?

 樹雷殿は、恵那ちゃんが好きってな訳で書いたSSですが、実は私も隠れエナリストだったりします。

 恵那ちゃんの出番がこれで終わりじゃあんまりだあああっという叫びは、結構あるものでして、そんな訳でさささささ〜〜っと書き上げた作品だったりします。

 短編に再登場してくれて狂喜乱舞した人は、果たしてどれくらいいるのであろうか?(笑)

 さて、このSSは単品でないことは、お分かりでしょうか?

 そう、これは、私が連載している「過ぎ去りし思い出」関連の第5〜7部のサイドストーリーなんですよ。

 と、いうことは、どうなるか?

 おわかりでしょうか?(にやりんこ)

 実は、ここまで設定はあるけど、書けないよお、ってな状況だったりするんですよ。

 まあ、気長に待ってくださいね。



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