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小説の世界で公開停止中の作品 フルメタル・パニック



トゥアハー・デ・ダナン内乱?
マデューカス中佐の回想




「マオリスト。第2、第3ブロックを制圧しました!」

「現在、第1ブロックで銃撃戦を展開中です!!」

 次々とオペレーターから情報が入ってくる。

 よくない知らせばかりだ。

「カリーニン少佐は、やはりすごいな。」

 マデューカス中佐はぽつりとつぶやいた。

 いや、これは口に出して言うべき事ではないな。

 あたりを見ると作業に没頭していて、誰も今の独り言は聞いていないようだ。

「マデューカス中佐。マオリスト総帥、カリーニン少佐より通信です。」

「繋げ!!」

「マデューカス中佐。テサリストには勝ち目がないと思うのだが。ここは潔く降伏してマオリストとして幸福になろうではないか。」

 艦橋は怒涛の声につつまれた。

「たしかにこちらが不利ではあるがね。カリーニン少佐。ここはテサリストとして最後まであがきさせていただく。」

 カリーニン少佐は、フっと笑った。

「そういうと思っていましたよ。それではこちらも全力で叩かせてもらいます。」

 通信が切れた。

「第1ブロック制圧されました。残りは艦橋のみです。

 絶望的なオペレーターの声。

「諸君。残念ながらマオリストの方が戦力的に圧倒的に勝っている。だが、ここで屈服することは、後に残るテサリスト達に絶望をあたえることになる。徹底的に交戦するぞ!!」

 艦橋は割れんばかりの大絶叫で満たされた。

 しかし、マデューカス中佐だけはあおっておきながら、妙に冷静であった。

(テッサの為に意地は通さないとな。)

 マデューカス中佐は、胸から一枚の写真を取り出した。

 そこには、小さい女の子と若いころの自分が写っていた。

 灰色の瞳、セミロングのアッシュ・ブランドの髪の毛。

「マリー・・・・・。」

 マデューカス中佐はぽつりとつぶやいていた。




「お父様。またお仕事でいなくなるの?」

 つぶらな瞳をしたかわいい娘が駆け寄ってくる。

 マデューカスは、娘を抱きあげてやった。

「ごめんな。マリー。でも、お土産いっぱい買ってくるから、我慢して待っているんだよ。」

 そういってホッペにキスをしてあげる。

 ちょっと寂しそうな顔をしていたマリーだが、お土産と聞いた途端キャッキャと嬉しそうな声をあげた。

「本当に?お父様。約束ですよ。」

「ああ、わかっているよ。マリー。約束だ。」

 そういって迎えに来ていた軍の車に乗り込んだ。




 軍の研究施設。

 様々な兵器の開発を担当するこの部署の潜水艦関連オブバーザーとしてここに呼ばれた。

 イギリスでの潜水艦艦長という経歴の持つ私の経験を生かした兵器開発をする為、アメリカから要請を受けた為である。

 それから幾日が過ぎたであろうか。

 突然、研究所の所長に呼ばれた。

 何事か所長室に入るとそこには所長の他に、背広をきた男が2人いた。

「マデューカス君。落ち着いて聞いてくれたまえ。君の奥さんと娘さんのマリーが殺された。」

 マデューカスは一瞬なにを言っているか理解できなかった。

「私は、CIAの者です。娘さんは本日、午前にあなたの自宅に侵入した男達に妙な薬を注射され殺害されました。ご近所の方が不審な人物があなたの自宅から出てくるのを目撃しました。奥さんは抵抗したようですがナイフで刺されて死亡していました。」

 マデューカスは一気に家族を失ったのである。

 その後、ある組織がウィスパードと呼ばれるこの世に存在しない技術の知識を持つ人間を狩り出していることが判明した。

 マデューカスはそのことがわかるまで呆然自失の状態であったが、そのことを知り復活した。

 自分の娘のような犠牲者を出さないために自分の潜水艦技術の知識をいかそうと。

 そして、ミスリルに技術研究者として入隊することになる。




「初めまして。テレサ・テスタロッサといいます。よろしくお願いしますね。」

 そこに10代の美しい少女がいた。

 灰色の瞳、丁寧に編まれたアッシュ・ブランドの髪の毛。

 もしも生きていたらマリーと同じ年齢の少女がそこにいた。

「マリー・・・・・・。」

 マデューカスは、そうつぶやいていた。

 通称テッサという少女は天才少女であると同時にウィスパードでもあった。

 マデューカスは彼女のブラックテクノロジーで得た知識を彼女と二人で形にしていくことであった。

 マデューカスは、この時誓ったのだ。

 世界平和のために。

 そしてウィスパードを守る為に。

 そしてなにより、自分の娘に似ているテッサの為に。

 自分の生涯を賭けようと。




「総帥、マデューカス総帥!!」

 どうやら長く過去の事を回想していたらしい。

「来ますよ・・・・。」

 第1ブロックに通じる扉が爆破された。

「撃て〜〜〜〜〜!」

 マデューカス中佐は、叫んだ。

(こうゆう人生も悪くは、ないさ。)

 マシンガンを乱射しながらマデューカス中佐は、そう思うのであった。



あとがき


 この小説は、私のホームページ「ウィーズの小説日記」のフルメタル・パニック(賀東 招二)のパロディ小説の第4部「トゥアハー・デ・ダナン内乱(仮)」のサイドストーリー「マデューカス中佐の回想(仮)」として構想していたものです。

 1999年8月30日現在、まだ第1部が完結した状況ですが、ゆーいちさんのホームページで[10000HIT踏んじゃった&おめでとう記念]として、一足先にゆーいちさんの所で公開いたしました。

 いかがでしたでしょうか?

 もともとホームページを作るきかけになったのは、ゆーいちさんとDRTさんに触発されたからです。

 いつかご恩返ししようと思っていましたが、ちょうどよい機会だったので投稿しました。

 ごらんになればわかる通り、この物語はテサリストVSマオリストの戦いでもあります。

 あの有名な賀東商事・給湯室の「6・16事件」が起こった時には、すでに構想していた話なんですが、あれを見て、それぞれの派閥に参加した人をちょい役で第4部で出演して貰おうかな〜〜なんて考えましたよ。

 まあ、先の話ですけどね。

 なお、カリーニン&マオの話も考えていますが、さていつ、どこで公表しましょうかね〜〜。

 結局、ゆーいちさんのHPで公開することになったりしました。

 なにはともあれ、お楽しみいただければ幸いです。

 なお今回、当HPに掲載するにあたり、若干の変更を加えております。

 マデゥーカスさんは、アメリカ国籍でしかも優秀な技術者と設定していたのを、本家フルメタで経歴が出てきたのでアメリカが潜水艦開発をするため、優秀な艦長の経験を持つイギリス海軍のマデゥーカスさんをオブバーサーとして招いたというふうにしました。



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